私は現役の配達員として、毎日のようにいろいろな住宅へ荷物を届けています。
新しい一戸建て。
昔からある住宅。
マンション。
アパート。
本当にいろいろな家があります。
そんな中、配達していると、
「この家、荷物を届けやすいな」
と思う家があります。
逆に、
「新しい家なのに、荷物の受け取りについてはあまり考えられていないな」
と感じる家もあります。
ネット通販をほとんど利用しなかった時代なら、それでもよかったのかもしれません。
でも今は、自宅へいろいろな大きさの荷物が届きます。
だから私は、これから家を建てる人には、
「荷物をどう受け取る家にするか」も、設計段階から考えてほしい。
と思っています。
この記事では住宅設計の専門家ではなく、実際に毎日荷物を届けている配達員の立場から、「荷物を受け取りやすい家」を考えてみます。
結論|「配達員に優しい家」ではなく「住人が受け取りやすい家」を作る
最初に、この記事で一番伝えたいことです。
私が理想だと思うのは、単に大きな宅配ボックスが置いてある家ではありません。
荷物の大きさや状況に応じて、
- 小型荷物は郵便受けで受け取れる
- 段ボールは宅配ボックスで受け取れる
- 複数の荷物にも対応できる
- 宅配ボックスに入らない場合の次の受取候補がある
- 雨に濡れにくい
- 盗難にも配慮されている
- 初めて来た配達員でも受取場所が分かる
- 必要なら外出先から来訪者へ対応できる
そんな家です。
言い換えれば、
「不在でも一回の配達で受け取れる可能性が高い家」
です。
① 郵便受けは「手紙だけ」を基準に選ばない
最初に考えてほしいのが郵便受けです。
現在は手紙やハガキだけでなく、郵便受けへ配達される小型荷物があります。
ところが実際に配達していると、
という郵便受けがあります。
特に、せっかく新しく建てられた家なのに小型荷物が入りにくい郵便受けを見ると、もったいないなと感じます。
これから郵便受けを選ぶなら、
- 投入口の幅
- 投入口の高さ
- 内部の奥行き・容量
- 荷物が引っ掛かりにくい構造
- 住人側からの取り出しやすさ
まで確認しておくといいでしょう。
「郵便受け=手紙を入れる箱」だけで考えない。
これが最初のポイントです。
郵便受けについては、現役配達員の立場からこちらの記事で詳しく書いています。
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-
現役配達員から住宅メーカーへ。その郵便受け、小さすぎます!
続きを見る
② ネット通販を使うなら宅配ボックスの置き場所を考えておく
次に考えたいのが宅配ボックスです。
もちろん家が完成してから後付けすることもできます。
でも、これからネット通販を使うことが分かっているなら、
家を建てる段階から「宅配ボックスをどこへ置くか」を考えておく。
という方法があります。
新築時から考えておけば、
- 玄関から使いやすい
- 配達員が見つけやすい
- 雨が当たりにくい
- 道路から荷物が必要以上に目立ちにくい
- 扉を開けるスペースを確保できる
- 必要なら固定方法も考えられる
といった条件を含めて設置場所を検討できます。
③ 宅配ボックスは「置けばいい」ではなく場所が重要
宅配ボックスが設置されていても、
配達員が見つけられなければ使えません。
これは実際に配達していると感じることがあります。
逆に、
- 玄関へ向かえば自然に目に入る
- 宅配ボックスだと分かる
- 扉を開けやすい
- 荷物を入れる作業がしやすい
という場所なら使いやすくなります。
ただし、道路から荷物そのものが必要以上に目立つ場所も、防犯面では考える必要があります。
「配達員には分かりやすい。でも通行人には荷物が目立ちすぎない」
というバランスを考えたいところです。
宅配ボックスの設置場所についてはこちらで詳しく解説しています。
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-
宅配ボックスはどこに置く?現役配達員が『ここに置いてほしい』と思う設置場所
続きを見る
④ 宅配ボックスは「外から大きく見えるか」ではなく実際に入るか
新築時にもう一つ考えてほしいのが宅配ボックスのサイズです。
せっかく設置しても、よく届く荷物が入らなければ十分に活用できません。
ただし、単純に容量の「○L」だけを見ればいいわけではありません。
重要なのは、
- 内寸
- 開口部
- 奥行き
- 扉の構造
- メーカーが示す収納可能サイズ
です。
宅配ボックスのサイズ選びはこちらで詳しく解説しています。
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宅配ボックスの大きさは何L必要?現役配達員がサイズ選びを解説
続きを見る
⑤ 「荷物は一日に1個」とは限らない
通販をよく利用する家庭ほど考えてほしいポイントです。
宅配ボックスを選ぶとき、
と思うかもしれません。
でも、同じ日に複数の荷物が届くことがあります。
1個目の荷物
→ 宅配ボックスへ
その後に2個目
→ 宅配ボックスは使用中
ということもあります。
宅配ボックスには、製品によって複数の荷物を受け取りやすい構造を持つものもあります。
複数荷物に対応しやすい宅配ボックスはこちらで紹介しています。
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複数の荷物を受け取れる宅配ボックスおすすめ5選!現役配達員が選び方を解説
続きを見る
⑥ 宅配ボックスに入らなかった「その次」まで考える
ここまで考えておくと、かなり荷物を受け取りやすい家になります。
どれだけ大きな宅配ボックスを置いても、すべての荷物が入るとは限りません。
そこで、
第二・第三の受取候補
まで考えておきます。
たとえば、住宅や配送サービスの条件に応じて、
第一候補:宅配ボックス
↓ 利用できなければ
第二候補:指定した置き配場所
↓ それも難しければ
第三候補:別の受取方法
という考え方です。
もちろん、実際に利用できる受取場所は配送サービス・荷物・住宅環境などによって異なります。
重要なのは、
「宅配ボックスに入らなかったら終了」ではなく、その次の受け皿まで考えておく。
ということです。
第一・第二・第三候補の考え方はこちらで詳しく解説しています。
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Amazonの配達指示は第一・第二・第三希望まで書こう!配達員が助かる書き方
続きを見る
⑦ 配送指示で「どこへ届けてほしいか」を伝える
受取場所を作ったら、次は配達員に分かるようにすることが大切です。
利用している通販・配送サービスで配送指示を設定できる場合には、
どこへ届けてほしいのかを具体的に書いておく。
という方法があります。
ただし、配送指示に書いた内容が、すべての注文・配送会社・荷物で必ず実行されるという意味ではありません。
利用できる受取方法は、それぞれのサービスや荷物の条件などによって異なります。
Amazonの配送指示・備考欄の書き方はこちらで例文まで紹介しています。
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-
Amazonの配達指示・備考欄には何を書く?現役配達員が例文を紹介
続きを見る
⑧ 晴れの日だけでなく「雨の日」まで考える
新築なら、ぜひここまで考えてほしいです。
晴れの日に荷物を置けるかではなく、雨の日にそこへ置いたらどうなるか。
です。
たとえば、玄関のひさしや屋根のかかる範囲に宅配ボックスを設置できれば、荷物や宅配ボックスが雨にさらされるリスクを減らしやすくなります。
後から宅配ボックスを置こうとすると、
「置きたいところには屋根がない」
「ここだと雨が吹き込む」
「屋根の下だと今度は扉が開けにくい」
ということも考えられます。
家を設計する段階なら、
「ここで荷物を受け取る」という場所から逆算して玄関周りを考える。
ことができます。
これは新築時に考えておく大きなメリットだと思います。
⑨ 防犯は「カメラを付ければ終わり」ではない
置き配や宅配ボックスを利用するなら、防犯についても考えておきたいところです。
防犯カメラも一つの方法ですが、それだけではありません。
たとえば、
- 道路から荷物が必要以上に目立たない位置にする
- 宅配ボックス本体を簡単に持ち去られにくくする
- 施錠できる宅配ボックスを選ぶ
- 荷物が届いたら長時間放置しない
- 必要に応じて防犯カメラやセンサーライトを使う
といった方法があります。
宅配ボックス・置き配の盗難対策はこちらでまとめています。
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-
宅配ボックスから荷物を盗まれないための対策7選
続きを見る
宅配ボックス周辺に使う防犯カメラについてはこちら。
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宅配ボックス用に防犯カメラは必要?配達員目線で考えてみた
続きを見る
⑩ スマホ連携インターホンも受取環境の一つ
そして、これからの住宅と相性がいいと思うのがスマホと連携できるインターホンです。
製品によって機能は異なりますが、外出先からスマートフォンで来訪者を確認したり、対応したりできるタイプがあります。
宅配ボックスとは役割が違います。
でも、
宅配ボックス
→ 不在でも荷物を受け取る設備
配送指示
→ 事前に受取方法を伝える
スマートインターホン
→ 状況によっては来訪時に外出先から対応できる
というように、それぞれ違う役割を持たせることができます。
スマホ連携インターホンについてはこちらで詳しく紹介しています。
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外出中でも配達員と話せる!スマホ連携インターホンは再配達対策になる?
続きを見る
宅配ボックスとスマートインターホンを組み合わせる考え方はこちら。
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宅配ボックス+スマートインターホンは便利?配達員目線で考える最強の受取環境
続きを見る
私が今から家を建てるなら、こんな玄関にする
ここまでの話をまとめて、
もし配達員の私が今から一戸建てを建てるならどうするか。
考えてみます。
現役配達員が考える荷物を受け取りやすい玄関
① 小型荷物まで入りやすい郵便受け
② よく届く段ボールが入る宅配ボックス
③ できれば複数荷物にも対応
④ 宅配ボックスは玄関へ来れば分かる場所
⑤ ただし道路から荷物は必要以上に目立たせない
⑥ 玄関のひさし・屋根を考えて雨対策
⑦ 宅配ボックスに入らない場合の第二・第三候補
⑧ 必要に応じて防犯カメラ
⑨ スマホ連携インターホン
⑩ 配送指示で受取場所を分かりやすく伝える
これなら、小型荷物から段ボール、複数荷物までかなり対応しやすくなります。
もちろん、すべての荷物を不在で受け取れるわけではありません。
対面受取が必要な荷物などもあります。
それでも、
「不在だったら即再配達」にならない選択肢を増やしておく。
という考え方はできます。
配達員が使いやすい宅配ボックスにも共通点がある
ここまで住宅全体の話をしてきましたが、宅配ボックスそのものにも「配達員が使いやすい条件」があります。
単に高価な製品を選べばいいわけではありません。
私が実際に配達する立場から重視しているのは、
- 見つけやすい
- 荷物を入れやすい
- 使い方が分かりやすい
- 十分なサイズがある
- 扉や鍵を扱いやすい
といった部分です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
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配達員が「これなら入れやすい」と思う宅配ボックス7つの条件
続きを見る
荷物を受け取りやすい家は、配達員のためだけではない
ここは一番伝えたいところです。
大きめの郵便受け。
宅配ボックス。
置き配できる場所。
防犯カメラ。
スマートインターホン。
こういう設備を見ると、
「配達員を楽にするための設備」
のように感じるかもしれません。
確かに、配達する側としても助かります。
でも、一番便利になるのはそこに住んでいる人です。
- 荷物を待つためだけに家にいなくていい
- 入浴中でも対応しなくて済むことがある
- 子どもを寝かしつけていても玄関へ出なくて済むことがある
- 外出中でも荷物を受け取れる可能性が高くなる
- 再配達を依頼する手間を減らせる
住宅メーカーにも「荷物の受け取り」を提案してほしい
私は住宅メーカーの人間でも、住宅設計の専門家でもありません。
配達する側の人間です。
だから建築について専門的なことを言うつもりはありません。
ただ、毎日のようにいろいろな住宅へ荷物を届けている立場から、一つ提案があります。
家づくりの打ち合わせで、
「ネット通販はよく利用しますか?」
と聞いてみてほしいんです。
ネット通販をよく利用する家庭なら、
- 郵便受け
- 宅配ボックス
- 玄関のひさし
- 置き配場所
- 防犯設備
- インターホン
を、それぞれ別々の設備としてではなく、
「荷物を受け取るための一つの環境」
として考えてもらえたらいいなと思います。
特に郵便受けについて住宅メーカーやこれから家を建てる人へ伝えたいことは、こちらの記事にまとめています。
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現役配達員から住宅メーカーへ。その郵便受け、小さすぎます!
続きを見る
再配達を減らすために、家の設備以外にもできることがある
もちろん、再配達対策は家づくりだけではありません。
すでに家を建てた人でも、賃貸住宅に住んでいる人でもできることはあります。
時間指定、置き配、配送指示、受取場所の工夫など、設備を大きく変えなくてもできる方法があります。
再配達を減らすためにできることは、こちらの記事で10個にまとめています。
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再配達を減らすために私たちができる10のこと【現役配達員からのお願い】
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まとめ|家を建てる前に「荷物が届くところ」まで想像してほしい
家づくりでは、
間取り。
収納。
キッチン。
お風呂。
コンセント。
駐車場。
いろいろなことを考えます。
そこにもう一つ、
「ネットで買った荷物を、どうやって受け取るか?」
を加えてみてください。
全部の設備を導入する必要はありません。
その家庭がどのくらい通販を使うのか。
どんな荷物がよく届くのか。
昼間に家にいることが多いのか。
留守が多いのか。
それによって必要な設備は変わります。
でも、
家を建ててから「荷物どうしよう?」と考えるより、建てる前に考えた方が選択肢は多い。
これは覚えておいてほしいと思います。